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乃村工藝社様の上海ショールーム「浮遊する和紙の空間」が完成しました。

皆さま、こんにちは。

年明け早々課題が山積みで、集中力が散漫し、あたふたしている中村です。 僕は普段和紙アクセサリーを制作しているのですが、他にも和紙に関する色んな仕事に携わっています。

今日は、そんな和紙に関する仕事の一つ、擬革紙(ギカクシ)の話です。

この仕事は、空間デザインを手掛ける乃村工藝社様との取り組みによるものです。
取り組み内容は、浮遊する和紙の空間を作ること。
上海にある乃村工藝社ショールームを、原料である楮(コウゾ)の原木から和紙が生まれ、やがて擬革紙へと変わっていく様を和紙が浮遊するように設計されています。

新型コロナウィルス感染症の1回目の緊急事態宣言と重なったため、数ヶ月間輸出できずかなり遅れたのですが、無事に完了しました(輸出までアトリエは、和紙にまつわるものでいっぱいだったのです)。

上の画像は、色落ちしない藍染め100%の擬革紙です。

まず、擬革紙の簡単な説明を…。
擬革紙とは端的に言うと、一般に1684年に製造が始まったとされている、革に似せた和紙のことです。僕は、和紙に京都の職人さんの色んな技術を結集させ、色落ちしない、破れない、革よりも強靱で耐久性があるなどの特性を持つ擬革紙開発に2014年頃から取り組み、2016年頃に完成したものです。

そんな擬革紙に乃村工藝社のデザイナーさんが興味を持ってくださり、上海ショールームのリニューアルの際にご採用いただきました。

さて、やった事がない事が大好きな僕は、採用決定にとても喜びました。ただ、前例がないだけに、どうすればできるのか不安もありましたが、難局に直面した時の娘との合言葉「まず、やってみること」を思い出し、取り組みました。

上の画像は、一束が樽のような大きさの楮の黒皮や白皮です。

僕自身、和紙ができる工程を一つ一つ実物で表現するのは初めてだし、職人さんも初めてだと仰ってました。

工程は数にすれば何十もあります。しかも、紙漉きはどうしても水とともに作業する事が多く、ディスプレイするためには管理も大変です。視覚から直感的に伝わり、且つ管理もできる工程や材料に絞り、職人さんと一緒に準備しました。

原料の中には、湿気を極度に嫌うものもあるのですが、真冬の中、アトリエの窓全開で扇風機を常にフル回転させ、ブルブル震えながら換気をしていました。

アトリエは、和紙というか、ほぼ木でいっぱいになってました。楮の剥がれ落ちた皮を吸い過ぎて掃除機も壊れました。

ただ、見た目は木材置き場ですが、香りが良く自然の匂いでいっぱいでした。それがものすごく心地良かった事を覚えています。

癒されました。寒かったけど。

輸出の勉強もできました。
アクセサリーを輸出する時とは違い、色んな検査や燻蒸処理が必要な事も初めて知りました。税関や検査処理業者さんに色んなことを教えていただき、色んな業種やしきたりがある事も知りました。ちょうどパリの展示会の後だったので、色んな事がものすごくタイムリーでした。

そして、素敵な和紙の空間ができました。

ただただ感謝です。乃村工藝社の皆様、お力を貸してくださった皆様、色々ご指導くださった方々、この場を借りて改めてお礼申し上げます。

本当にいい経験で楽しく、心の底のうんと底から挑戦して良かったと思える仕事でした。

Location:乃村工藝社 上海ショールーム